Ep.0 — なぜ作ったか · スクワッシュ&ストレッチ · リギングパイプラインの現実
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BipedPlusをなぜ作ったのか、現場で繰り返されるリギング・パイプラインの問題は何か、そしてこのツールがどのような方向で解決しようとしているかを説明するイントロダクション動画です。
ツールのボタンを押す方法よりも、背景と哲学を理解することに焦点を当てています。
この動画で扱うコアテーマ
1. 繰り返されるリギングの基礎工事
多くのプロダクションでTechnical Artist・リードリガーとして働く際、会社を移るたびに似たような作業が繰り返されます。
- リギングガイドライン・ネーミング規則・ボーン体系をゼロから再構築する
- スタートアップ・中小・大企業いずれも最初(レベル1〜5)から積み上げ直してプロダクションレベル(動画:レベル30)まで上げる作業を繰り返す
- プロジェクトごとに事情が異なり、根幹は似ているのに毎回リセットされる経験
BipedPlusはこの繰り返しコストを削減し、共通の基盤の上ですぐに作業できるようにすることを目的としています。
2. Squash & Stretch(スクワッシュ&ストレッチ)と韓国ゲーム
アニメーション12原則の最初の一つであるSquash & Stretchは、誇張・リズム・生き生きとした表現に不可欠です。
- ゲーム内映像を見るだけでも、Squash & Stretchの有無で表現レベルが大きく変わります
- 原神、オーバーウォッチなど海外・グローバルタイトルは大胆なボーン変形を活用しています
- 韓国のゲーム内映像では、リギングシステムが対応できずその技法が活用されないケースが多くありました
- ゲームエンジンだから不可能なのではありません。 構造さえ合っていれば十分可能です
BipedPlusはStretch/Squash/Scaleの表現をリギング段階でサポートし、アニメーターが望む誇張を実現できるようにすることを目標としています。
3. 断片化したツール環境
3ds Maxのリギングエコシステムには有用なスクリプト・プラグインが多いですが、バラバラに散らばっています。
- 共通標準がなく、個人のノウハウとしてのみ蓄積される
- どのツールが最新・推奨なのか見つけにくい
BipedPlusは万能ツールではありません。 Bipedベースの高度なリギングビルドとアニメーション補助に必要な機能をひとつのパッケージにまとめる方向性です。
4. リギングは見えにくいが重要なパート
- モデリング・アニメーション・エフェクトはビジュアルでフィードバックしやすい
- リギングはデータ構造・効率・パイプラインの領域で、アートディレクター・PDには伝わりにくい
- それでもアニメーションTA・リガー1〜2名の意見を尊重すれば、以下のような問題を防ぐことができます
実際の現場事例:FBXエクスポート地獄
- キャラクターごとにエクスポート方法がバラバラ(ルートの有無、軸方向、武器の含有など)
- リガー・TAなしでアニメーターが各自リギング → ルール統一不可
- シーン・キャラクター数が多いほど手作業エクスポートに何週間もかかる
- 自動化・ルール統一後に80時間 → 3時間水準に短縮された事例もあり
教訓: ビジュアルが優れていても、内部パイプラインが崩れると全体のスケジュールが揺らぎます。
5. Biped固有の落とし穴 — Clavicle(鎖骨)の例
Bipedのデフォルト設定では、Clavicleが4つに設定され、Spineとの接続も構造的にぎこちない場合があります。
- 首・肩の動きに意図しない影響が伝播する
- 一度ボーンの接続構造(親子関係)がずれたままアニメーションが積み上がると元に戻すのが難しい
BipedPlusはゲームエンジンに合ったボーン接続構造・スキンボーン配置を一貫して提供し、こうしたボトルネックを減らそうとしています。
6. BipedPlusが目指すもの
| 目標 | 説明 |
|---|---|
| エンジンに合ったボーン構造 | Unreal・Unityなどに合った接続・軸方向を提供 |
| Stretch/Squash/Scale | アニメーターの表現の自由度を拡大 |
| フルパッケージ | Build、Figure、Skin、Picker、Ani Utilsなどを一つのツールで |
| ガイドライン共有 | ネーミング・ボーンルールなど共通常識レベルのドキュメント提供 |
| 中間の底上げ | 現場リギングの格差を最低基準線まで引き上げる |
会社の規模・インフラレベル(レベル5〜60)に関わらず、すぐに使える実務技術とパイプラインの整備を支援することが目標です。
BipedPlus UIプレビュー(動画後半)
動画後半では実際のツール画面が少しだけ紹介されます。
- パネルドッキング — BipedPlusウィンドウを3ds Maxの横にくっつけて使用
- Build後 Stretch/Squashなどさまざまな表現・補助機能
- ep.1以降はBuildタブから順番にチュートリアルを進める
特に役立つ方
- 会社ごとにリギングガイドラインを毎回新たに作らなければならない方
- BipedベースなのにSquash & Stretchを使いたいアニメーター・TA
- エクスポート・パイプラインがキャラクターごとに異なるプロダクション
- インフラがない初期プロジェクトで基準を決めたいチーム
責任者・チームリーダーへ
- アニメーションTechnical Artist・リガーはアートチームの潤滑油の役割です。多くは必要ありません
- ファイル構造・エクスポートルール・リファレンス構造の提案は、チームリーダー・アートディレクターの理解と決定があって初めて現実的に適用できます
- リギングは画面に直接現れなくても、モデリング・アニメーション・エフェクトの品質を支えます